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メンタルヘルス通信

2015年11月2日

61号 「生活習慣病の意味するもの その2-生活習慣病のカウンセリング-」

<生活習慣病の意味するもの その2-生活習慣病のカウンセリング->

夫:入院したいんだけど・・・。

妻:どうしたの?

夫:糖尿病。

妻:お金無いわよ。車検代だって、私払ったし・・・。入院費は自分の小遣いから出してよ!

夫:保険会社からだって少しは入るだろう?

妻:それは私がもらう・・・。

夫:え?

この後、夫は落ち込むのであるが、考えようによっては、夫の糖尿病で妻はもうかり、夫は自分の小遣いがそんなにも多いのかと優越感に浸ることもできる。(認知療法)

生活習慣病は、偏った生活習慣と人生(認知)の歪みから来る。思い通りにならないことが続くと、不安や不満を覚える。その対処行動として、人は嗜癖に走る。

生活習慣病は嗜癖行動の副作用の結果、生じた病気である。嫌なことがあると酒で慰める。寂しくて甘えたい時は異性を求める。むしゃくしゃしたら、何でも買ってしまうし、何でもやってしまう。こんな繰り返しが生活習慣病をもたらす。要するに生活習慣病の根本的治療は、食生活の見直しと適度な運動を生活の中に根づかせることである。もっと言うなら、自分にとって健康な食生活や適度な運動ができるように、自分のライフスタイルを変えていくことである。

しかし、小生にとって健康的な食生活の中に何か夢や楽しみを見出せるのかといえばそうでもない。トマトジュース1缶、ご飯80グラム、ほうれん草のおひたし少々、山盛りのキャベツ、トーフ 1/4丁、ワカメのみそ汁1杯、こんな料理の中に夢や楽しみはない。というより、仕事が終ったらそそくさと帰宅し、テレビを見ながらこんな料理を一人で食べるイメージにいささか嫌気を覚えている。やはり、仕事が終ったら気の合う同僚や友だちと居酒屋でも行き、今日のできごとや印象に残ったことなどを話し、盛り上がる。場合によっては気にくわない奴の悪口でも言い合って憂さを晴らす。いわばそんなストレス対処行動をいつも期待し、そこから脱却できないのである。

一般に、ストレス対処行動を考える時、3つの視点が重要である。

(1)ストレスをもたらす負荷の軽減

(2)ストレス耐性とコントロール能力

(3)周囲のサポート

小生の場合は、ストレス耐性やコントロール能力が低いことである。ストレスに曝されると、食行動に走る習慣がある。したがって、その心理的メカニズムについてじっくりカウンセリングを受ける必要がある。

「あなたはストレスに曝されるとどんな状態になりますか?」
「どんな気分になりますか?」
「体の状態はどうなりますか?」
「頭の中で、どんなことを考え、どんな連想をするのでしょう?」
「そして、どんな行動をとってしまいますか?」

こんな質問を、優しい声でされてみたい。きっと、ひとつひとつ答えていく中で、自分の状態が明確になっていくように思う。さらに「そのことは何に起因するのでしょう?」と投げかけてもらうなら気づきも生まれるにちがいない。

おそらく小生はストレスに曝されると葛藤したり、苛々してしまう状態を冷静に受け止められず、何か代替行動をすることによって解消しているのだ。ここで大事なことは、葛藤や苛々感を冷静に受け止められることであるが、そのためには、感情の舞台裏となっている認知に目を向けなければならない。

ストレスに曝されると、小生は「もういい!」「勘弁してくれ!」「自分は自分」などと、開き直る癖がある。この時、他の見方やもっと楽になる考え方を模索する事が大切である。

視野が広がればプラス思考にもなり、情緒も安定する。情緒が安定すると冷静になり、今自分が何をしようとしているのかも見えてくる。その結果、過剰な食行動に走ることもない。

今、小生が生活習慣病対策としてとっている方法は、心の中にもう一人の自分をつくり、相談役になってもらっていることである。葛藤や苛々感が生じた時は必ずこの相談役に話をもちかけている。この相談役と充分なやりとりができれば、前述したような冷静な状態をつくれる。勝ち負けをつければ、退院してから53勝8敗である。

冷静になれると、人はそんなにまちがったストレス対処行動に走ることはない。

生活習慣病のカウンセリングは、その人に合ったストレス対処行動の方法を見つける援助をすることであるが、そのベースになるのは認知の歪みを修正することである。


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