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メンタルヘルス通信 No.86のお知らせ

2017.10.12

メンタルヘルス通信 No.86のお知らせ

今号のメンタルヘルス通信は、連載企画『スマホ依存・ネット依存・ゲーム依存』の第2回、
テーマは「ホントに怖くなってきたネット依存」です。
本稿では、そもそも依存症とは何か? そしてネット依存とは何かについてのポイントをお伝えしています。

メンタルヘルス通信は、イントラネットへの掲載やプリントアウトしての配布など、
従業員の皆様へのメンタルヘルス啓発活動などにご活用ください。

【PDF版】
メンタルヘルス通信No.86(PDF)

【テキスト版】
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NO.86 連載「スマホ依存・ネット依存・ゲーム依存」②
       ホントに怖くなってきたネット依存
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 <<ホントに怖くなってきたネット依存 >>

依存症とは、「日常生活に大きな支障をきたすほどに何か(酒、薬物、
ギャンブル等)にのめり込んでしまっているのに、やめたくてもやめら
れず、自分の力だけではどうにもならなくなってしまっている状態」の
ことを言います。

そして「ネット依存」とは、「インターネットに過度に没入し、スマホや
PCが使用できないと、苛立ちを感じるなどして、現実社会の人間関
係や心身の健康に弊害が出ているのに、その使用をやめられない
状態」
を言います。

ネット依存には、大きく2つの依存があります。
  ● SNSによるコミュニケーションへの依存
  ● オンラインゲームへの依存

どちらかというと女性はSNSに、男性はゲームにはまりやすい、と
いった傾向があります。

またネット依存の特徴として、①ネットに没入し「時間のコントロー
ル」ができなくなる、②ネットを取り上げると「パニック」のように
心を乱す、③ネットにつながる方法を何とかして手に入れようとする「探
索行動」が見られる
、といったことがあります。

ネット依存になってしまうと、生活リズムが乱れたり、人間関係が壊れ
たり、心身の健康を害したりして、日常生活に支障が出てきます。ネット
をやめられず、自分の力だけではどうにも解決しようがなくなった場合に
は、治療や専門家のサポートが必要です。

<<診断ガイドライン試案>>

では、アメリカの心理学者キンバリー・ヤング博士が作成した「ネット
依存の診断ガイドライン試案」で、ネット依存にあたるかどうかをチェッ
クしてみましょう。

【ネット依存の診断ガイドライン試案】(1998年)

□1.ネットに夢中になっていると感じていますか? 
  (前にネットでしたことを考えたり、次にネットすることをワク
   ワクして待っているなど)
□2.満足を得るためには、ネットを使用している時間をだんだん長く
   していかなければならないと感じてますか?
□3.ネット使用を制限したり、使用時間を減らしたり、完全にやめよ
   うとしたりしたが、うまくいかなかったことがたびたびありましたか?★
□4.ネットの使用時間を減らしたり、完全にやめようとしたとき、
   落ち着きのなさ、不機嫌、落ち込み、またはイライラなどを感じますか?★
□5.はじめ意図したよりも長い時間オンライン状態でいますか?
□6.ネットのために、大切な人間関係、仕事、教育や出世の機会を逃
   すようなことがありましたか?★
□7.ネットのハマり具合を隠すために、家族、治療者や他の人たちに
   対して嘘をついたことがありましたか?
□8.問題から逃れるため、または絶望的な気持ち、罪悪感、不安、落ち込み
   といった嫌な気持ちから開放される方法としてネットを使いますか?

博士は、このうち5項目以上にあてはまればネット依存症としています。
(★は特に注意した方がいいもの)

<<ネット依存はどのくらい?>>

依存症の治療で有名な神奈川県の久里浜医療センターが行った調査(成人
対象,2008年)によると、国内で依存傾向にあるのは男性 約153万人、女性
約118万人の計 約271万人と推計されました。また、ネット依存が比較的多
い子どもまでを含めると、約400万〜500万人にのぼるのではないかと推計
されています。同センターのネット依存外来の受診者でみると、中高生が約
6割と最も多く、また男女比ではおよそ7:3で男性の方が多いそうです。

また、「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」
(総務省,平成26年)によると、ネット依存傾向が高い人は8.2%を占め、諸
外国と比べ同程度の水準でした。

この調査で特徴的だったのは、スマホ保有の有無による依存度の違いでし
た。スマホ保有者で依存傾向が高かったのは11.8%でしたが、未保有者
は4.1%と半分以下でした。
メディア環境研究所の発表では、スマホ保有
率は平成26年は59%でしたが、今年平成29年は78%にのぼるそうです。
今後のさらなるスマホの普及に比例して、ネット依存傾向の数はさらに増
えていくものと予想できます。

※ネット依存については、インターネット自体の歴史が浅く、検証できる
 データの蓄積が十分ではないこともあり、世界的に認められた診断基準
 はまだありません。ネット依存にあたるかどうかは、専門のクリニック
 などで詳しく診てもらってください。

新行内勝善 (精神保健福祉士)

連載「スマホ依存・ネット依存・ゲーム依存」 (全5回)
第1回【①1日でどのくらいスマホ、見てますか?】はこちら
第3回【③ネット依存の原因は心のスキマ】はこちら
第4回【④ストレートネック、座りすぎ、ブルーライト】はこちら
第5回【⑤ネット依存からの脱出 ~予防,回復,再発防止~】はこちら

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